坂田靖子「バジル氏の優雅な生活」

坂田靖子。とにかく素晴らしいマンガだった。1巻の1,2ページ目を読んでいるあたりでは「こんな絵が下手じゃ誰が誰だかもわかんないよ」とか思っていたりもしましたが、巧みな台詞回しと魅力的なキャラクター、そして詳細に練り上げられた坂田靖子的19世紀英国の前に、瞬時でそんなこと気にもならないくらい夢中で読みふけってしまった。ヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台にしたマンガで貴族らの生活を主に描くという点では昨今の「エマ」と類似点を見いだすこともできようが、あっちはあくまでも2人の恋愛もの、こちらは広く人間もの。ジャンルとしての優劣は申しませぬが、「エマ」と「バジル氏」では僕は後者の方が気にいりました。名作棚行き決定。坂田靖子道は深いようだけど、これからおいおい掘り進んでみよう。楽しみだなぁ。