芦原姫名子「砂時計」

小学館からのキラキラ系ジャケ少女マンガ「僕たちがいた」&「砂時計」。淡く眩しいジャケを見たときからどうしたって気になっておりました。ウチでは今、2作品並べて面やってますが、とりあえず「砂時計」からいってみた。都会から田舎に引っ越してきた女の子の成長を季節とともに描いていくこの作品。舞台設定はそんな感じなんですけど、話の進み方としては、かなり王道的恋愛もの。王道的というと聞こえは良いけど、要するにストーリーの大まかな流れが4巻までのところバレバレとも言える。なんだけど、細かい心理描写が達者でおもろい。やっぱ王道ってことだな。
 
しかし、このところの身も心も少女になりそうな少女マンガ連打の日々を通して思うが、やはり少女マンガとは人間関係そのもののダイナミズムを描くのに特化した分野であって、4人から6人くらいの男女が繰り広げる恋愛模様だけで、ここまで読ませるってのはすげーなぁ。別に月を破壊したりもしないし、新種の病原菌はでないし、腕も延びないし、なんのトーナメントも行われないけれど、結果として得られるカタルシスは身内でちまちまやってる様な話の方が大きかったりするんだから物語って不思議だ。
 
試しに、少年マンガは神話で少女マンガは文学とか言ってみようか。と言いましても、ここで言う少女マンガとは、純粋に現代を舞台とした主に恋愛ざたやらアイデンティティ確認やらのものであって、少女マンガの中の24年組以降的SFやらホラーやらファンタジーやらには今のとこあんま興味もないし、その辺においときます。うーむ、やはり俺は岡崎京子以降すなわち90年代以降の少女マンガに惹かれているのだろうか。このへんの仲間内でごちゃごちゃ系の少女マンガってどこから来たのだろう。あ〜、少女マンガに詳しい人と友達になりたい。
 
考えてみりゃ、青年マンガやらサブカルマンガやら耽美マンガやら萌えマンガやらもそれぞれがそれぞれに特有の文法を保持しているんだよなぁ。この辺はジャンルとして語るよりも雑誌という視点で語った方が適している気がする。雑誌、ジャンル、カテゴリー、マンガ話は尽きねえ。