パッチギ

本当にES書かなきゃモードの僕ですが、この2時間は結構そんなこと忘れていられた。話のスジは単純だし、演出だってベタ、目新しい発見だってありゃしない。だけど、ここだけの話、泣けたよ。音楽とか芸術とか愛とか友情とかそういうのでどこまで偏見とか差別とか嫌悪とか歴史とかを超えられるのかなんてわかりゃしないけど、オレが信じられるんならオレの世界は変わるよ。キミが幻想だって思うなら、キミの世界じゃ幻想だけどね。自分が何をしたかってそりゃあ大事だけど、自分が何をしてこなかったかって考えれば少しはわかり合える?


とはいえ、こんなあまりにもストレートなメッセージじゃどれだけ世の中動かせるのやら。言いたいこと言うことと説得力って明白に別物なわけで、これがタダの踏み絵になるってんじゃあつまらない。左と右の分水嶺として世の中が受け入れることだけはヤメて欲しい。もし、この映画を見て「どうして仲良く出来ないのかな?」と思ったなら、その気持ちを大事にして欲しい。オレはそう思ったから大事にする。描かれた問題が未解決であることは何よりも重大です。


余談だけど、思った以上に年輩の方が多かった。60年代の終わりという時代設定は、嫌らしい話マーケティング的に正解だったように思います。最後に、葬式の場面で主人公が何にも言えなかったということに、僕は井筒の考える限界を見ましたよ。