「カナリア」観てきたよ

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これまで塩田監督作と知らずに「月光の囁き」と「害虫」の2本は見てた。どちらも、正直、諸手を上げて賛成とまではいかないが、妙に気にかかる映画だったことは覚えている。っていうか、最近またシネラバンバでやってたから両方見返したばっか。っつーか、もっと正直に言えば、どちらの映画もそのシネラバンバで見返すまでは「なんじゃこりゃ?納得いかん!」と思っていた節があります。


月光の囁き」に関して言えるのは、あれの途中で「おまえら、おかしいんじゃ」と言って変態性欲の世界から逃げ出しちゃう先輩がいたけど、やっぱ自分もそっちの目線で見ちゃってたんだよね。オレは、あの変態二人の目線を味あわせて欲しかったんだけど、最後までそこに行き着けなかった。まぁ、素質の問題なのかも知れないけど。原作では、その辺が上手くいっていただけに、ちょっとがっかりした。


「害虫」の初見の感想は、「もうホント気分悪い」の一言。ものの見事に不幸になっていく展開も、単純に気に食わなかった。特にあのラストは「絶対許せん伊勢谷殺す」と思っていた。が、ラバンバで見返してみると、なんかいい。初見で「はぁ?」って思った家に火炎瓶投げたあとに、「いやぁー」って言うあたりもなんとなくわかった。それでも、ラストにはまだ、納得いかん部分があったが。


そこで「カナリア」ですよ。もちろん映画本編もすげえ良かったんだけど、個人的に一番救われたのが、害虫でのラストシーンを明らかに意識したシーンがあるんですよ。そこでは、害虫とはまったく違った話が展開するわけなんだけど、オレはホントにそこで救われた気持ちになった。これは理屈じゃないし、映画の本筋としては、主人公の少年はそこでそういう行動を起こしたことで、どっちつかずの状態を継続させてしまうわけなんだけど、そんなん関係なく、オレは見たいものを見れたと感じた。監督のサービスだろうとは思ったが、もう全然OK。有り難く受け取りました。もっと言うなら、あのシーンを挟んだことで、カナリアが害虫以降の話だってことが明確になった。


お話自体はそこらでちゃんと感想書いてる人いるだろうから見てください。オレが言えるのは、この映画はオウムをモチーフにしたなんて言ってるけど、その辺の魅力は見ていてあまり感じなかったよってこと。なんていうか、オウムに対する見解は凡庸と言ってもいいほどで、5年くらい前の言説だなって感じ。それとは別に、やっぱり「子は親を選べないのに、親は子供を選べるのか」っていう害虫から継続してるテーマに一応の決着が着いているのが素晴らしい。あぁ、いい映画でした。コレ見る前に「害虫」は必見ということで。