ある個人トレーダーの言葉

もうけても「つらい」


 10分程度の取引で20億円余りもうけたことになる。さぞかし気分が良かっただろうと思うが、


 「もうかっても、損しても精神的にかなりきつい。やっててつらいんです。1回この世界に入ったら、何をしていても株で頭がいっぱいになる。やめたいのに、やめられない」


 何だか悲痛な言葉が返ってきた。


 一生遊んでも暮らしていけるだけのお金を手に入れたのだから、つらいならやめてしまえばいいと普通は思う。だが、そうもいかないらしい。


 「家族からも『やめたら』と言われる。でも、いつでも値動きがある。もうけのチャンスがそこにあるのに、失うこともつらい。出来たはずのことをしなかったことで仕事放棄のような気がしてしまうんです」

たぶん、この感覚は時代のある一面を象徴するものになる気がする。