仕事

うん、まぁ、僕は今、新宿の某書店で研修しているんだけど、それで先日、そこでサイン会があったんだよ。まぁ、サイン会って言ってもさ、ほら、そんなに大きな規模じゃなくてさ、熱心なファンの人しかこないようなものだったんだ。それでさ、その日は2つの別のサイン会があってさ。1つめの方は、本当に知名度もないような人だったんだけど、それだけにとてもみんな仲良さげな感じでさ。待っている間にお客さん同士で仲良くなっちゃったりするようなものでさ、それで、みんなとても楽しそうで、僕は、それを見ていて、とても良いなぁって思ったんだ。とても良いなぁって。


だけどさ、2つめの方が問題で、いや、問題だったのは著者やお客さんじゃなくてさ、本を出してる側の人間だったんだけど。というのはね、サイン会ってさ、やっぱり人が少ないと本屋的にも出版社的にも体面が悪いらしくてさ、僕はそういうの馬鹿らしいって思うんだけどさ、でもまぁ、確かにサイン会しますっていうのに、ガラガラじゃ、著者の人も傷つくと思うし、そういう点でケアをするのは大切なのかなってのは分かるんだ。でもさ、それもやりかたがあるじゃない。2つめの方の本を出していたのは、某出版社、えっとまぁ、こんなこと言うのも悪いんだけど、ヒットした本の真似ばかりしてるって印象のあるような、しょぼくれたところだよ。あ、これはそういうことがおこったあとの僕のイメージだから、必要以上に悪いイメージで書いていると思うし、そのへんはさっぴいて聞いて欲しいんだけど。


そうだった。やりかたの話だったね。その某出版社がさ、列に並ぶ人間が少ないってんで、10人くらい連れてきてる社員を並ばせたのさ。ここまではすげえよくある話で、僕は、その行為自体をどうこう言おうってつもりはないんだ。そうじゃなくてさ、列に並んでいる人って、さっきも言ったように、その著者の熱狂的なファンなわけじゃない。それこそ、著者と握手して、少し話して、それだけで感動して泣いてしまうくらいに。そういうファンてスゴイ大事な存在じゃないか。僕たちはそういうなにかを好きだっていう気持ちを、ご飯に変えさせてもらっているみたいなものじゃない。


それなのに、その某出版社のヤツラは、タダでさえそうした熱心なファンとは見た目的にも結構違って、列に混じったら浮いてしまうようなものなのに、そういうこと全然気にしないで、自分達が楽しくなればいいやっていうような話をギャーギャーするわで、周囲の人の気持ちを大切にしようっていう心構えが微塵もなくてさ。結局、その場にいた人みんなに、あぁ、この著者のサイン会は人が少ないだろうからって並んでたんだなってバレバレで、少なからず、ファンの人をがっかりさせやがったんだよ。


はっきり言わせてもらうけど、そんなんだから、お前のところはいつまでたっても三流なんだよ。このドサンピンが。なにがワンコインだ。絶対にお前のとこの本は買わねえからな。