「複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線」マーク・ブキャナン (著), 阪本 芳久 (翻訳) ISBN:4794213859

ようやく、読み終えた。ネットワーク科学っていう、これまであまり馴染みの無かった方法で社会でもなんでも考えてみようという現在の一つの潮流を、アナロジーをふんだんに使って、わかりやすく面白く伝えようというスタンスは結構。でも、ちょっとアナロジー使い過ぎでうさんくさくもあったりする。


個人的にネットワークで考えることに、違和感と言うか嫌悪感を抱いてしまうものの一つに、個としての性質は無視して、システム単位での働きを考えるという姿勢があった。(より細かく言えば、システムの構成要素としての個々の性質すら無視されるということへの一人の人間としての嫌悪感と、数学的裏付けのあるネットワーク科学でなきゃダメみたいな全能感とそこからくる神様染みた驕りにも「はっ」って思う)


でも、まぁ、くるりの「リコシェ」じゃないけど、「君みたいなやつは百人くらいいるんだろう」と考えれば、巨視的に考えたらそんなもんなのかなと思ったりもする。実際、俺みたいなやつは、あるパースペクティブからだけ見れば、1億人も居たら間違いなく、百人くらい居るんだろうし、世界で見たらもっといるのかも知らん。


ともかく、この考え方をどういう風に使って、何が出来るかって部分が一番重要なんであって、そうすっと理系も文系もなくなるこのジャンルは、やっぱ結構面白いわ。


とりあえず、この本からは「彼氏の元カノの元カレの元カノの元カレの元カノ・・・」ってCMじゃないけど、HIVには注意しようという教訓は得られた。貧困問題は金持ちが金を使わないとどうしようもないんだとさ。じゃあ、関係ないってこと?なんてね。っていうか、日本でHIVを本気で減らしたいんだったら、リトマス試験紙みたい手軽なな判別法が出来ないと厳しくない?だって、「いざ」ってときに「あれ?これ大丈夫か?」とか気にするってねぇ?これから先の社会は性と死をオープンにしていく必要があるんだろうけど、どちらもそれが大切な存在に関われば関わるほど簡単にはいかなくなるわけで、難しいとこ。


なんか途中から激しく話が変わったけど、そういうこと。